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鶯の谷渡り
日本の昔話 むかし、ある男が旅に出ることになった。
そうして旅に出て帰ってくると、さっそく妻を裸にして、隠し所を見せるように言った。
「おらの居ぬ間に男と寝ただな?」 鶯の文字を隠し所の右側に書いたのに、帰ってみると左へ移っていたのだ。
いくらあやまって許してもらえないので、妻は仲人に泣きついて取りなしを頼んだ。
「字が移ったって、そりゃあんた鶯(うぐいす)じゃ仕方ねえ。鶯ってやつは谷渡りをするもんだ。右から左へ奥方の谷をわたって自分で移ったんだろうさね」 これを聞いて、男もやっと怒りがおさまり、妻を許してやることにしたという。 |
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