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バリ島の始まりと米の誕生
インドネシア・バリ島の伝説 むかし、この世界が暗黒に包まれていた頃、バタラ・シヴァという神様が現れました。すると闇は逃げていき、光あふれる時代がやってきたのです。 それからバタラ・シヴァは山をつくり、草木をつくり、世界を美しいものに作り上げました。 そうして最後につくったのは人間です。バタラ・シヴァは赤土をこねて四人の男たちをつくり、男たちの妻として四人の女をつくりました。 けれど、八人四組の男女は、子供を作る能力を持っていませんでした。そこで、愛の女神であるバタラ・セマラがやってきて、女達に子供をみごもる能力を与えました。セマラはバリの言葉で精液を意味します。 こうして四組の夫婦は子作りにはげみ、沢山の男の子と女の子を産み落としました。その子供達が成長すると、たがいに伴侶をみつけて家庭を持つようになりました。 ところが、どうしたことでしょう。娘がひとり、余ってしまいました。男より女の数が多かったのです。 娘を哀れに思ったバタラ・シヴァは、森の奥にはえていたパンの木を削って男の形に作りました。愛の女神バタラ・セマラはその木に命を与えました。 結婚できなかった娘は人生をはかなんて森に入りましたが、そこで男の姿をしたパンの木を見つけて仰天します。男は木でできた人形でしたが、股間には立派なオチンチンまでつけていました。 娘はどうしてもその木のそばを離れられず、やがて木を愛するようになりました。間もなく娘は妊娠して女の子を産み落とします。 その子の子孫が今のバリ島民だと言われています。 ところで、バリ島にはろくな食べ物がありませんでした。果物と芋はありましたが、それだけだったのです。 そこで冥王であり豊穣と水の神でもあるウィスヌがやってきて、大地の女神をむりやり組みしいて自分の"もの"で耕しました。 すると女神は妊娠して米を産み落としました。そのためバリ島の人たちは大地の女神のことを「襲われた祖母」と呼んで慕っているのです。
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