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ハトホル女神が太陽神をなぐさめること
エジプトの神話 地上の王だったオシリス神が亡くなると、その後継者としてセト神とホルス神が名乗りをあげました。セトはオシリスの弟で、ホルスはオシリスのまだ幼い息子でした。 セトはホルスがまだ幼いことをあげて自分こそオシリスの後継者にふさわしいと言いましたし、ホルスの後ろ盾である母親のイシスは、実の息子こそ後継者にふさわしいのだと言いました。 その論争はエジプト中の神様を巻き込んで何年も何十年も続きました。どちらも決して引こうとしません。 いつまでもつづく戦いに神さまたちも限界にきていたのでしょう。その怒りは、万物の主である太陽神ラー・ホルアクティーに向けられました。 神々は立ち上がり「ラーよ、お前の神殿は空っぽだ」と叫びました。これは、神の力をうばう呪文です。 これを聞いたラー・ホルアクティーは激怒して、ショックのあまり寝込んでしまったのです。 太陽神が寝込んでしまったのですから、世界はどんなに暗くみじめだったことでしょう。それ以上にラーの心はみじめで孤独でした。 そこへラーの娘であるハトホル女神がやってきて、着物のすそをまくりあげると、大きく足をひらいて自分の陰部をさらけだして見せました。 それを見ると、さすがのラーもほほえんで、やっと元気をとりもどしたということです。
参考>筑摩世界文学大系「古代オリエント集」
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