|  | セキジュ    水中にはセキジュが多く、そのかたちは魚のようで人の顔、その声は鴛鴦(おしどり)のよう。これを食べれば疥癬にならない。(南山経一の巻)
 絵・文とも『山海経』より | 
| いわゆる人面魚。数年前に日本でも、山形県鶴岡市の善宝寺の池に人面魚が現れたというので大騒ぎになったが、その正体は頭の部分の凹凸が人の顔っぽく見える鯉だった。しかし、ある種の鯉は歳をへると人面になりやすく、特に珍しい現象ではない。 それでも人面魚を拝んでいいことがあったという人が続出。地元では人面魚饅頭や人面魚テレカなどの土産物も登場。しばらくは見物人でにぎやかだったとか。 | |
| 鯉のことをラテン語ではキュプリンといって、キュプロス島の女神アフロディーテに捧げられた魚だった。その神聖さから鯉は人の顔を持っているとも信じられており、中世スイスの博物学者コンラート・ゲスナーが『動物誌』の中で人面鯉を紹介している。 現代日本の人面魚騒ぎと同じことが古代ローマや中国でも起こったのだろうか。 |   人面鯉 ゲスナーの『動物誌』より模写 | 
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