モウキョク
孟極

 獣がいる、そのかたちは豹のようで文ある題(ひたい)、白いからだ、名前は孟極 。これはよくなつく。鳴くときは自分の名をよぶ。(北山経一の巻)--132

絵・文とも『山海経』より

 
 豹のようで白いといえばユキヒョウがそうだ。ユキヒョウには前身にぶちがあるが、とくに額に細かいぶちが集まって黒く見えるから、そのことを言っているのだろうか?
 しかし、ユキヒョウは人になれるだろうか?

ユキヒョウ
ユキヒョウ

 人になれるネコ科動物といえば、チーターも注目にあたいする。チーターはアフリカの生き物と思われがちだが、インドやカスピ海沿岸にも棲息しており、意外にも人によく慣れるらしい。インドの王様はチーターを飼い慣らして狩りに使っていたそうだ。

 ただ、チーターなら白い体と言われるのがわからないし、全身に斑があるのに額に文があると特記されているのも解せない。目頭から頬にかけて、涙が流れた後のような黒い線模様があるのが特徴なので、あるいはそのことを言っているのかもしれないが。

 「よくなつく」の部分は、『山海経箋疏』によれば「是善伏(これはよくふせる)」とあって、狩りをするために身を隠すのがうまいともとれる。こうなると、ネコ科動物すべてにあてはまってしまいそうだ。

チーターチーター
 最も足の速い獣として有名。瞬間時速120Kmを記録するという。もっともチーターは短距離ランナーなので、獲物を追う一瞬の話だが。中国語では猟豹という。
ゴールデンキャット  あるいはゴールデンキャットなどはどうだろう?

 ゴールデンキャットは体の模様に変化が多く、前身に斑のあるもの、ほとんど無地で頭のところだけ虎のような模様が出るものなどがある。

 残念ながら体色は白くはないが、頭にだけ模様のある固体なら「文あるひたい」という条件にはあいそうだ。

ゴールデンキャット
 森林に住む大型の山猫。アジアに棲むものと、アフリカに棲むものがある。アジアでは頭骨を漢方薬の材料として用いられた。

 

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