ケチ和尚とかしこい小僧の話 |
◆飴は毒 甘いものが大好きな和尚さん。小僧さんたちに水飴をやりたくありません。そこで一計を案じて「これは大人がなめると薬になるが、子供には毒になる。決してなめてはいかん」といって町に出かけていきました。 けれど小僧さんたちは中身が美味しい水飴だと知っています。とうとう我慢できなくなって水飴をすっかりなめてしまいました。このままでは和尚さんにしかられます。 そこで頭のいい小僧さんが「ようし、おいらに任せとけ」掛け軸をわざとやぶいて、泣きながら和尚さんに見せました。「大事な掛け軸を破いてしまったので、死んでおわびしようと毒をなめましたが死ねなかったのです」 これには和尚さんもビックリ。自分がケチをして水飴をわけてやらなかったせいだと悟り、小僧さんたちにあやまったということです。 和尚さんが隠していたボタモチを小僧さんが食べてしまった。和尚さんが戸棚をあけてみるとボタモチがなくなっているので「さては小僧どもが食べたな」と、寺の小坊主たちを呼び集めて、 「おまえたち、ここに入れてあったボタモチを食べただろう」 と、きつく叱った。けれども頭のいい小僧さんがいて、 「和尚さん、わたしたちが食べたのではありません。寺のご本尊様がおあがりになったのです」 といって、和尚さんを本堂に連れて行った。見れば本尊様の口のまわりにはあんこがべったりついている。小僧さんがあらかじめぬっておいたのだ。 そんなことは和尚さんもお見通しで、 「それならば本尊様をたたいて懲らしめてみよう」 と、棒をもってきて本尊様をたたいた。本尊様は金(かね)の仏像だったので、棒でたたくと「くわーんくわーん」と鳴った。 「小僧たち、このとおりご本尊様は食わんと言っておられる」 和尚さんがそういうと、かしこい小僧さんが言った。 「たたいたくらいでは責めが足りないのです。釜茹でにしてみてはどうでしょう」 そうして大きな鍋にぐらぐらとお湯をわかし、ご本尊様をぼちゃんと入れた。すると、鍋の中で本尊様が煮立って「くったくったくった……」と音を立て始めた。 「そうらこの通り、ご本尊様が食ったとおっしゃっております」 これには和尚さんも何もいえず、ただ小僧さんの頭のよさに舌を巻いたという。
◆白茄子
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