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獣がいる。そのかたちは麋(なれしか)のようで、その州(あな)は尾の上にある。名は羆という。(北山経三の巻) 絵・文とも『山海経』より |
牙というと普通は肉食の動物が獲物を襲うのに使うものだが、草食動物のジャコウジカの牙はなんに使うのだろう?図鑑や辞書をひっくりかえして調べてみたが、ジャコウジカの性質について詳しく書かれた本がみつからなかった。
同じように牙をもつ小型のシカにキバノロというのがいるが、気が強いどころか非常に驚きやすい生き物だという。 ジャコウジカ
中央アジア・中国東北部・朝鮮・樺太の山地に棲息する小型の鹿。オスは上顎の犬歯が発達する。オス・メスともに角はない。繁殖期になると下腹部にある麝香嚢が発達し、強い香りで異性を呼ぶ。別名:麝香犬 |
また、西山経で1回、中山経で1回、麝という文字でジャコウジカそのものが記録されているが、名前だけで解説はない。
ジャコウジカは現在数がへり、ワシントン条約で輸出入を規制されている。そのため天然の麝香はほとんど手に入らないが、かわりに合成麝香が使われている。どんな香りかというと、化粧品や香水に特有の、頭がくらくらするような強烈な香りだ。麝香だけでは強烈すぎるので、香りを楽しむためには他の香料でうまく緩和しながら、麝香の良さを引き出さなければならないようだ。
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