ダイジャ
浴水がある。ここに大蛇がいる。赤い首に白い体、その声は牛のよう。これが現れるとその地方は大いに旱する。(北山経三の巻 ジュンウムホウ山) 草木なく、水碧(という玉)が多く、大蛇が多い。(東山経二の巻 耿山) 草木なく、大蛇が多く、碧玉と水玉が多い。(東山経二の巻 碧山) 草木なく、大蛇がいて、山には玉が多い。水があり広さ四十里、みな湧く。(東山経三の巻
跂踵山)
文は『山海経』より |
蛇は化け物の花形的存在だが、いざ取り上げようとすると、特徴がなさすぎて意外とつまらない。いや、特徴ならある。蛇には手足がなく、そして長すぎる。たったそれだけの特徴で蛇に見えてしまう。しかも、本来の特徴そのものが充分に化け物くさく、それ以上の変化を遂げる必要がないのだろう。蛇の化け物というのは、文章に書いても絵に描いても、いまひとつ面白みに欠ける。
さて大蛇だが、ジュンウムホウ山と跂踵山の大蛇は水のある場所にいることは水神に関係していそうだ。また、大蛇の出るところ、草木がないというのは旱に関係しているからではないだろうか。大蛇が旱を起こしているという説明は一カ所もないが、この蛇の存在が異常気象に関連していることは確かだろう。 日本でも蛇は天候に関係した神である。蛇神に雨乞いをする昔話は多いし、水の湧く場所に水神として蛇が祭られている場所も多い。雨を降らせることができるなら、降らせないこともできるはずだ。『山海経』が記された時代の中国でも、すでに蛇が天候を操る神と関係していたということではないだろうか。 |
ジョウヨウ
水中にジョウヨウが多い。そのかたちは黄蛇のようで魚の翼、水に出入りするとき光を放つ。これが現れるとその地方はおおいに旱する。(東山経一の巻)
絵・文とも『山海経』より
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ヒレがあるというと、蛇ではなくウナギなどの仲間だろうか。歳を経た魚が水源地の主と呼ばれることは多く、蛇神になりかわって雨や旱をおこすことがありそうだ。 |
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