ソクソ
獣がいる。そのかたちは禺(サル)のようで鬣があり、牛の尾をしており、模様のある前足と馬の蹄を持ち、人を見ると叫ぶ。名はソクソといって、
鳴くときは自分の名前を呼ぶ。 (北山経一の巻)--134
文は『山海経』より |
牛の尾というのは、要するに尾の先に房毛があるという意味だと思う。そういうサルなら何種類かいる。さらにたてがみがあるというと、有名どころではマントヒヒ。ちょっとマイナーだけれどインドにいるシシオザルなども尾の先に房毛があって、顔のまわりにライオンみたいなたてがみをはやしている。他にも同じような特徴のサルはいるかもしれない。
ただ、さすがに蹄があるサルはいない。逆にサル顔の馬や鹿だと考えれば、まったく趣の違う生き物が現れるが、それでも実在する生き物にあてはまりそうもない。やはり想像の産物なのだろうか? |
シシオザル(ワンダルー)
インド西部のガーツ山脈に生息するサル。ライオンみたいな尻尾とたてがみが特徴。草食性だがたまに虫も食べる。 |
シシオザルをベースにして描いてみたソクソ。左はサルっぽく、右はウマっぽくなるように心がけたつもり。『山海経』では「文ある……」という場合、挿し絵ではトラジマの生き物を描いている場合が多いが、馬タイプのソクソにトラジマをつけると、たてがみが濃いシマウマみたいになってしまった。
映画『もののけ姫』に出てくるシシ神も猿顔で鹿っぽく、ちょっとソクソのイメージに似ていそうだ。 |
蹄のいろいろ(左から、シカ・ラクダ・ウマ・カバ)
蹄といってもいろいろあるので、どれをくっつけるかによっても違う生き物になりそう。 |
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