巴蛇     ハダ
巴蛇
 巴蛇は象を食い、三年でその骨を排出した。君子がこれを服用すれば心腹の病にならない。その蛇は青・黄・赤・黒である。 (海内南経)

 黒い蛇がいる。青い首で、象を食う。 (海内経)

文・図版とも『山海経』より


 
 唐の時代というから、山海経よりもずっと後の時代だが、こんなこともあったらしい。巴蛇があまりゾウを食べるので、困ったゾウが人間に助けを求めようとした。ところが彼らは人の言葉がわからない。そこでショウジョウを背中に乗せて弓が得意な人間の猟師に巴蛇退治を頼みに行った。男はみごと大蛇を倒し、大蛇の住処からは大量の象牙が出てきた。おかげで男は大金持ちになったという。
 山海経にも記述があるということは、巴蛇は何百年にもわたってゾウを食べ続けたのだろうか。
 象を飲み込んだ蛇というと、『星の王子さま』のボア蛇のことを思い出す。テグジュペリが子どもの頃に読んだという”生き抜いた話”なる本は、まさか『山海経』のことではないだろうが、参考までに引用すると
ボアというものは、自分の獲物を噛まずに丸飲みにする。そのため、彼らは動けなくなり、半年もの消化期間を眠ったまますごすのである。(『星の王子さま』より)
象を飲み込んだ蛇
象を飲み込んだ蛇
『星の王子さま』より

 

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