前のページ珍獣の館TOP博物誌・目次直前に見たページ

 
コスズメの幼虫
2003年9月3日撮影

 改めて全身をながめてみよう。上の写真では右が頭で左が尻です。尻にツンとした角のようなものがついてる。これは尾角というもので、スズメガの幼虫はみんなこの尾角を持ってる。この角を見たら、スズメガの仲間の幼虫だと思ってだいたいあってると思う(例外もあります)。

 尾角がするどくとがっているように見えるから「刺される?」「毒があるんじゃない?」と心配する人が多いけれど、スズメガの尾角は刺さらないし、毒もない。みつけたら指先でツンツンしてみてほしい。大丈夫だってわかるはず。

 もうひとつ特徴的なのは、脇腹の白い模様。目玉模様のすぐ後から尾角の付け根までずーっと続いている横の線と、横線から斜め下前方向に走るにじんだような線。これも種類を見分ける重要なポイントになることがある。

 ただ少し注意しなきゃいけないのは、芋虫には「緑色型」「褐色型」のように同じ種なのに色の違うやつがいることがある。コスズメも褐色型というのがいて、だいぶ見た目がちがっている。でも、特徴的な目玉模様は褐色型にもあるので見分けられると思う。

 それに手ざわり。
 コスズメはさわってみるとシンと冷たくてすべすべしてる。セスジスズメホシホウジャクなんかもすべすべしてる。
 スズメガの仲間でも、ウンモンスズメモモスズメなどの幼虫は、全身に細かいボツボツがあって、縮緬(ちりめん)のお細工もののような手触りだ。

 
頭の形も重要なポイント
2003年9月3日撮影

 それから忘れちゃいけないのが頭の形。
 スズメガ科の幼虫には大ざっぱにわけて三つのタイプがあるようだ。

 ひとつは頭が大きくて丸いもの。たとえばオオスカシバなんかはこのタイプ。頭が大きいので体全体を見ると寸胴で、尻から頭まで太さがほとんど変わらない。

 二番目は頭が丸くて小さいもの。コスズメ(今見てるやつ)、セスジスズメホシホウジャクなどはこのタイプ。頭が小さいから体全体を見ると頭に向かって細くなっている。気を付けなきゃいけないのは、芋虫はおどろくと首をきゅーっとちじめてしまうということ。パッと見ると頭まで太く見える芋虫が、しばらく観察していると首のあたりがにゅーっとのびて細くなることがある。上の写真は、ちょっと首をのばしはじめたところで、リラックスしている時はもっと細くのびている。

 三番目は大きな三角形の頭を持つタイプ。ウンモンスズメモモスズメサザナミスズメシモフリスズメなどがこのタイプ。体全体を見ると、首のあたりがわずかに細い程度でわりと寸胴。

 
大迫力顔面写真
2003年9月3日撮影

 コスズメの顔はこのとおり丸い。目は単眼が数個ずつ頭の脇についてるみたい。手(胸脚)をなめたりしてはげしくかわいらしい。
 

 姿形だけでなく、食べものにも特徴がある。芋虫や毛虫の中には、アメリカシロヒトリのようになんでも食べるやつもいる。でもスズメガの仲間の場合、好き嫌いがわりとハッキリしているから、何を食べているかわかるだけで、だいぶ種類が限定できる。
 

尾角がある!
スズメガ科の幼虫であることが多い
 |
 +クチナシの葉を食べている→ほぼ間違いなくオオスカシバ
 +ヤブガラシやブドウなどの葉をたべている→セスジスズメ、コスズメなど
 +ウメ、モモ、サクラなどの葉を食べている→モモスズメなど
 +ニレ、マユミなどの葉を食べている→ウンモンスズメなど
 +モクセイ科の葉を食べている→サザナミスズメシモフリスズメなど
 +ヘクソカズラなどの葉を食べている→ホシホウジャクなど

 ちなみに、これがスズメガすべてではないので注意。尾角のある芋虫をみつけたら「スズメガ (植物名)」とかで検索してみるといいかもしれない。わかりやすく表にして説明しているサイトなんかもけっこうあって参考になるはず。

 

目次へ
目次へ