ゴウエツ
頂上に獣がいる、そのかたちは牛のようで、白い身に四本角、そのあら毛は蓑をひろげたよう、その名はゴウエツ。これは人食いである。(西山経三の巻)--098
絵・文とも『山海経』より
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4本角の牛である。
古代生物ならいざしらず、今でも見られる獣で角が4本あるものというと沢山はいない。 羊の怪のところで書いたマンクス・ログタン種の羊は4本角ので牛のようにひづめのある獣だ。また、インドにいるヨツヅノレイヨウなども、4本角の獣である。しかし、ヨツヅノレイヨウには蓑のような毛はない。 角の数を無視すれば、ヤクにもよく似ている。野生のヤクは黒っぽい毛色だが、家畜化されたものには、白い毛の固体もある。
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ヨツヅノレイヨウ
インドの森林地帯に棲息。チアウシンガともいう。オスにだけ4本の角がある。 4本角といっても、眼の上に生えている2本の角は小さく、せいぜい2.5〜3.8Cmだという。 |
ショカイ
獣がいる、そのかたちは牛のようで四本角、人の目、イノコ(豚)の耳、その名は諸懐。その声は鳴く鴈のよう、これは人食いである。(北山経一の巻)--143 絵・文とも『山海経』より |
これまた4本角の牛。
豕の怪のところで書いた、バビルサというイノシシも、4本角の獣といえそう。正確に言えばバビルサの角は「牙」なのだが、顔の皮膚を突き破って生えてくる4本の牙が角のように見えるため、現地語で豚鹿と呼ばれている。諸懐は「豚の耳」とあるのでかなり近い気がする。 |
しかし、ここでは角の数ではなく、どちらも「人食い」だという点に注目して次に進みたい。 角の数に注目したい人はこのへんをどうぞ。
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